薬学研究者

別名:医薬品研究者

製薬会社等の研究部門において、新しい医薬品を開発するための研究開発を行う。

タグの基準(job tag の就業者調査から、全職業の上位・下位20%などでrokudakaが判定)

サマリー

年収の目安
802万円
2025年・平均より広い職種の数値
有効求人倍率
0.80倍
2025年平均より広い職種の数値
就業者数
98,020人
2020年より広い職種の数値

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 一般労働者 職種 第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」 / 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」長期時系列表 第21表「有効求人倍率(パート含む常用)」(2023〜2025年) / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ)

計算年収の目安 = きまって支給する現金給与額(月額) × 12 + 年間賞与その他特別給与額。いずれも統計の平均値からrokudakaが計算。

数字で見る薬学研究者

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 一般労働者 職種 第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」 / 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」長期時系列表 第21表「有効求人倍率(パート含む常用)」(2023〜2025年) / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ) / 総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」 / 総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,年齢(5歳階級),職業(小分類)別就業者数(15歳以上就業者)」 / 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」スキル(2021年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算全職種の平均は、統計に全職種の合計がないため、「不詳」を除く144職種の年収の目安(月額×12+年間賞与、2025年)を労働者数で重み付けしてrokudakaが計算(男女別も同じ方法)。差が3%未満は「ほぼ同じ」。年齢別は推計労働者数1,000人以上の年齢階級だけで比べた。職業全体の有効求人倍率は統計の「職業計」(2025年平均)。差が0.1未満は「同じくらい」。働く人全体は国勢調査の「総数」(2020年)。増減率・女性の割合の差が5ポイント未満は「同じくらい」。年齢構成は、60歳以上・30歳未満の割合が全体より10ポイント以上多いときに記載。スキルは、全職業の平均との差が大きい順。近い職業は下の「スキルが近い職業」と同じ計算で、年収の目安がこの職業より高く、賃金の統計の区分が違うもの。

どんな仕事か

製薬会社等の研究部門において、新しい医薬品を開発するための研究開発を行う。

医薬品の開発では、まず探索研究(基礎研究)として、化学合成、バイオテクノロジーやゲノム情報などを活用し、薬の候補となる新規物質を作り(医薬品候補物質)、その化学構造や物理的・化学的な特性から医薬品となる可能性を調べる。この基礎研究では、コンピュータにより物質の合成シミュレーションを行ったり、実際に医薬品の合成実験をしたりもする。さらに、関係分野の動向や最新の情報を調べたり、最新技術を用いたアプローチや社外リソースを活用した研究を行うことがある。ここまでの基礎研究がおおよそ2~3年とされる。

次に3~5年かけ、選別された医薬品候補物質について、有効性、体内動態や安全性などを検討する(非臨床試験)。また、物質自体の品質、安全性に関する試験、臨床試験や市販に向けた製剤化の検討も行う。

その後3~7年をかけて、ヒトでの有効性や安全性の確認を行う(臨床試験:治験)。これらの結果をもとに、国の審査を受け承認されると薬として認められる(2~3年)。

薬学研究者はこの開発過程の中で主に基礎研究及び非臨床試験に従事する。

実際の開発ではプロジェクトリーダー(主任研究員、課長クラス)と数人の薬学研究員がチームを作り、それぞれ役割を分担して1つのプロジェクトに数年をかけて研究、開発を行う。

薬の開発は全体で10年以上かかることは珍しいことではない。当初の候補物質(合成化合物)が臨床試験等の開発段階を経て、承認取得に至るまでの確率は低い。業界団体調べによると、2019年~2023年の5カ年累計でみて、43万1,293の合成化合物に対し、承認取得段階に移行した数は14となっている。(2019~2023年*1)。薬品として製品化されるまでには長い年月が必要であり、自分の研究成果がなかなか形にならなくても、モチベーションを維持し続けることが必要となる。

*1 日本製薬工業協会 DATA BOOK 2025

「開発段階別化合物数と承認取得数 (日本)」から

よく使う道具・機材・情報技術

2019年度時点の情報job tagの解説はこの年度から更新されていません。現在とは異なる場合があります。

文書作成ソフト(Word、一太郎等)、表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等)、プレゼン資料作成ソフト(PowerPoint、Keynote等)、オンライン会議ツール、パソコン

主なタスク

job tagの就業者調査で重要度が高いとされたもの。実施率は、そのタスクを行っていると答えた人の割合です。

タスク実施率
研究テーマを決定し、研究計画を立てる。88%
薬物や毒物などが生体に及ぼす影響を調べる。80%
実験結果を研究チーム内で共有し、今後の方針について検討する。88%
動物実験を行い、医薬品や化粧品の人体への安全性を確認する。74%
報告書を作成する。94%
未知の物質や薬物が病気の治療に使えるかどうか動物実験をする。65%
医薬品の承認に必要な書類を作成し、申請する(薬事申請)。80%
疾患のターゲット(医薬品が作用する生体内分子)を探索する。74%

労働条件の特徴

勤務先は基本的に企業や研究機関の研究所となる。製薬会社は大阪、都市圏や地方都市周辺等様々な地域に設置している。

勤務時間は、週休2日、9時頃~17時頃の勤務が標準だが、研究内容によってはその時間帯以外での業務が発生する場合がある。また近年、裁量労働制やフレックスタイム制をとっているところが多い。

製薬の研究・開発は長いスパンで行われることもあり、製薬会社は業績に関係なく毎年コンスタントに薬学研究者を採用している会社が多い。

従来、化学合成により様々な新薬が誕生してきたが、完成度の高い薬が出揃い、供給も安定していることから、この手法での新薬開発は難しくなっているとされる。一方、ヒトが持つ遺伝子情報(ゲノム)をコンピュータで解析し、それを新しい医薬品の開発に応用するゲノム創薬や、ケミカルバイオロジー、またデジタルヘルスやAI・ビッグデータの医薬品開発への活用など新たな手法での革新的な治療創薬への取り組みが注目されており、今後画期的な医薬品が開発される可能性を秘めている。

働く環境の特徴

job tag の就業者調査で、この職業の人が答えた「仕事の性質」です。全職業の平均と比べて、特に高い項目と低い項目を並べています。

全職業の平均より高い

全職業の平均より低い:立ち作業、屋外作業、モノ、道具、制御装置を扱う手作業

勤務のスケジュール:規則的 47%、不規則 49%、季節的 4%

出典厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」仕事の性質(2023年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算「仕事の性質」は回答の平均(値はおおむね1〜5の範囲)で、棒の縦線はjob tagの全職業(518職業)の平均。平均との差が0.3以上の項目を、差の大きい順に高いもの最大6つ・低いもの最大3つ。勤務のスケジュールは回答者の割合。

一般的な就業形態

この職業の一般的な就業形態として、job tag の就業者調査で選ばれた割合です。複数回答のため、合計は100%を超えます。回答した人の数が少ない職業もあるため、目安として見てください。

禄高(給与)

より広い職種の数値統計に「薬学研究者」だけの区分がないため、「研究者」全体の数値を表示しています。

この年収は、会社などに雇われて働く人の給与です。事業主(開業している人など)の収入は含まず、会社の役員も原則として含みません。

精度の目安標準誤差率 3.04%(統計の全職種の中央値は2.04%)

標準誤差率は、調査の対象に選ばれた事業所によって平均がどのくらいぶれるかの目安です。小さいほど数字が安定しています。

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 標準誤差率 誤差率表4「職種(小分類)別所定内給与額及び所定内給与額の標準誤差率(役職者を含む)」

計算誤差率は所定内給与額(残業代・賞与を除く月額、男女計)に対する統計の公表値。中央値は全職種の誤差率からrokudakaが計算。

年収の目安は802万円です (月々の給与51.7万円 × 12か月 + 賞与など182万円)。統計の全144職種の中で11番目に高い水準です。

平均年齢は42.5歳、平均勤続年数は12.5年です。年齢別では55~59歳が最も高く、1,084万円です。

年収の推移

2023年2024年2025年
740万円750万円802万円

年齢別の年収

白抜きの点と破線は、推計労働者数が1,000人未満の区分です。 人数が少なく平均がぶれやすいため、参考値として見てください。 薄い棒(右の目盛り)は、賃金の統計の推計労働者数です。企業規模10人以上の会社などに雇われて働く人の数で、自営業の人や小さな会社で働く人を含まないため、下の「年齢別の就業者数」(国勢調査)とは対象が違います。

男女別

男848万円
女642万円

女性の年収は男性の76%です。年齢構成や勤続年数の違いも含んだ差です。

企業規模別

1,000人以上837万円
100〜999人732万円
10〜99人627万円

企業規模による差は最大209万円です。

需要と将来性

より広い職種の数値求人倍率は「その他の専門的職業」全体の数値です。

2025年の有効求人倍率は0.80倍です。求人の数が仕事を探している人の数より少なく、求職者どうしの競争がある状態です。2023年からの推移を見ると、大きくは変わっていません。

有効求人倍率の推移

ハローワークを通じた求人・求職の数から計算した値で、民間の求人サイトの求人は含みません(パートタイムを含む常用)。

就業者数の推移

より広い職種の数値就業者数は「自然科学系研究者」全体の数値です。

2020年の就業者数は98,020人です(うち女性23%)。2010年と比べると-11%減っています。

国勢調査は5年ごとの調査です。会社員だけでなく、自営業や家族で営む仕事の人も含みます。 そのため、給与の統計(企業規模10人以上の会社などで働く人)とは対象が違います。

年齢別の就業者数(2020年)

「自然科学系研究者」全体の数値です。5歳ごとの年齢層では、30~34歳がいちばん多くなっています(70歳以上はまとめているため除く)。30歳未満は17%で、働く人全体(15%)と同じくらいです。60歳以上は10%で、働く人全体(24%)より少なくなっています。

国勢調査の就業者数で、雇われて働く人のほか、自営業や家族で営む仕事の人も含みます。70歳以上はまとめています。

出典総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,年齢(5歳階級),職業(小分類)別就業者数(15歳以上就業者)」 / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ)

計算年齢(5歳階級)の就業者数を、賃金の統計の年齢階級に合わせて「〜19歳」から「70歳〜」にまとめた。割合は5歳階級の合計に対する割合でrokudakaが計算。働く人全体は国勢調査の「総数」で、差が5ポイント未満は「同じくらい」。

働き方の内訳(2020年)

雇われて働く人(正社員・派遣・パートなど)98%95,850人
会社などの役員1%1,170人
事業主(人を雇っている)1%未満50人
事業主(一人で)(開業・フリーランスなど)1%620人
家族従業者・内職など1%未満10人
不詳1%未満310人

出典総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」

計算割合は従業上の地位別の就業者数を総数で割ってrokudakaが計算。「家族従業者・内職など」は家族従業者と家庭内職者の合計。

必要なスキル・知識

全職業の平均と比べて特に求められるスキルは、外国語を読む、外国語で書く、科学的素養です。 知識では生物学、医学・歯学、化学が特徴的です。

スキル(全職業の平均との差が大きい8項目)

知識(全職業の平均との差が大きい8項目)

水準はスキルが0〜7程度、知識が0〜5程度で、数字が大きいほどその仕事で高いレベルが求められることを表します。

なり方・学び方

入職にあたって特に必要な資格はないが、薬学研究者になるには、大学の薬学部、理学部、獣医学部、農学部などで大学院まで進み、製薬会社、化粧品メーカー、国の研究機関などに就職するケースが多い。

入職後は大学の専攻分野の研究だけではなく、他の分野の研究も行うことが多いため、専門を生かしながら創薬に関わる知識も身につけることができる。

また、ラジオアイソトープ(放射性同位体)や危険物を取り扱うことから放射線取扱主任者や毒物劇物取扱責任者等の関連の資格が必要であるが、一般的には入職後に取得する。

人事異動で研究以外の企画、特許、製品情報関連の部署に配属される場合がある。

研究開発の実績により、大学に転出したり、製薬開発のベンチャー企業を興したりする者もいる。

最新の専門知識を得たり、海外との情報交換を行うために、特に英語の語学力は不可欠である。また、研究には何年も要することが多く、探究心を持ち続けることが求められる。

関連する資格

資格の詳細ページでは、受験資格・受験料などを試験の実施団体などの公式情報をもとに、出典と確認日つきでまとめています。講座の情報は準備中です。

関連団体

スキルが近い職業

スキル・知識の傾向が似ている職業です。必要なスキルの重なりが大きいほど、転職のときに経験を活かしやすいと考えられます。

出典厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」スキル(2021年度、その職業に就いている人へのWebアンケート) / 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」知識(2023年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算スキル39項目・知識33項目の水準を、job tagの全職業の中での位置(標準化した値)に直し、職業ごとの全体の高さの差を除いてから傾向の近さ(コサイン類似度)をrokudakaが計算。このサイトに掲載している職業の中から近い順に5件。

薬学研究者と、ほかの職業をくらべる →

出典と注意

使っている統計について

賃金構造基本統計調査(e-Stat)
厚生労働省が毎年行う基幹統計(統計法で特に重要と定められた統計)です。 事業所が、働いている人ごとの給与を記入する調査で、職種・年齢・企業規模などの区分ごとの給与がわかる国の代表的な賃金統計です。 このサイトの数値の範囲は一般労働者(短時間労働者を除く)、企業規模10人以上です。
職業安定業務統計(一般職業紹介状況)(e-Stat)
厚生労働省が、全国のハローワークで受け付けた求人と求職の数を集計した業務統計です。 民間の求人サイトや人材紹介会社の求人は含みません。
国勢調査(e-Stat)
「国勢調査は、日本に住んでいるすべての人及び世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに行われます。」 (総務省統計局「令和2年国勢調査に関するQ&A」問1-1) 職業別の就業者数は、調査票の一部を抽出して集計した推計値です(抽出詳細集計)。 範囲は15歳以上の就業者(雇用者のほか、自営業主・家族従業者などを含む)です。
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)(ダウンロードページ)
厚生労働省の職業情報サイトです。スキル・知識・タスクの数値は、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)がその職業に就いている人へのアンケートで集めたものです。

データの対応関係

数字の見方

数字の計算方法や読み方は「統計の読み方」にまとめています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成『職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00』職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月30日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)、『職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ ver.7.01』職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月30日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成