沿岸漁業従事者

別名:沿岸漁業者、地びき網ひき作業員、潜水漁師、定置網漁師

比較的小さな漁船で主に日帰りで魚介類を獲る沿岸漁業に従事する。

タグの基準(job tag の就業者調査から、全職業の上位・下位20%などでrokudakaが判定)

サマリー

年収の目安
361万円
2025年・平均より広い職種の数値
有効求人倍率
1.07倍
2025年平均より広い職種の数値
就業者数
66,470人
2020年より広い職種の数値

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 一般労働者 職種 第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」 / 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」長期時系列表 第21表「有効求人倍率(パート含む常用)」(2023〜2025年) / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ)

計算年収の目安 = きまって支給する現金給与額(月額) × 12 + 年間賞与その他特別給与額。いずれも統計の平均値からrokudakaが計算。

数字で見る沿岸漁業従事者

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 一般労働者 職種 第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」 / 厚生労働省「職業安定業務統計(一般職業紹介状況)」長期時系列表 第21表「有効求人倍率(パート含む常用)」(2023〜2025年) / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ) / 総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」 / 総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,年齢(5歳階級),職業(小分類)別就業者数(15歳以上就業者)」 / 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」スキル(2021年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算全職種の平均は、統計に全職種の合計がないため、「不詳」を除く144職種の年収の目安(月額×12+年間賞与、2025年)を労働者数で重み付けしてrokudakaが計算(男女別も同じ方法)。差が3%未満は「ほぼ同じ」。年齢別は推計労働者数1,000人以上の年齢階級だけで比べた。職業全体の有効求人倍率は統計の「職業計」(2025年平均)。差が0.1未満は「同じくらい」。働く人全体は国勢調査の「総数」(2020年)。増減率・女性の割合の差が5ポイント未満は「同じくらい」。年齢構成は、60歳以上・30歳未満の割合が全体より10ポイント以上多いときに記載。スキルは、全職業の平均との差が大きい順。近い職業は下の「スキルが近い職業」と同じ計算で、年収の目安がこの職業より高く、賃金の統計の区分が違うもの。

どんな仕事か

比較的小さな漁船で主に日帰りで魚介類を獲る沿岸漁業に従事する。

漁業には、沿岸漁業のほか、比較的大きな漁船で数日間かける沖合漁業、さらに大きな漁船で半年から1年かけて外国の海にいく遠洋漁業がある。沿岸漁業従事者は日本の漁師の大部分を占め(2017年時点1*)、魚類や昆布、貝類まで幅広く漁獲する。漁法は多彩で、釣り漁の他、魚が通りそうな場所に網を仕掛けておく定置網漁や刺し網漁、魚を船で追いかけて漁獲する方法として、海底に下ろした網を船で引っ張る小型底引き網漁、大きな網で魚群をぐるっと巻き上げる巻き網漁、たくさんの針を流すはえなわ漁などがある。また、カニ・イカ・タコなどには、独特の漁法がある。

仕事は早朝、場合によっては午前2時や3時に出港する。漁場に着くまでに、船上で準備を終え、到着と同時に作業に取りかかる。網おろし、網の巻き上げ、漁獲物の仕分けなどを行う。市場での価格に大きく影響するため、魚の仕分けは慎重に素早く行う。小さな魚は海にもどし、市場でのセリの時間までに港に戻る。

漁を終えて帰港すると、漁獲物の水揚げ、漁船や網の清掃・点検・修理など翌日の準備を行う。

*1 農林水産省 平成29年漁業就業実態調査から

沿岸、沖合・遠洋別漁業就業者数

よく使う道具・機材・情報技術

2019年度時点の情報job tagの解説はこの年度から更新されていません。現在とは異なる場合があります。

漁船、小型底引き網、巻き網

主なタスク

job tagの就業者調査で重要度が高いとされたもの。実施率は、そのタスクを行っていると答えた人の割合です。

タスク実施率
漁に出る前に気象予報を聞き、天候の変化を予測する。100%
漁場まで船を操船して移動する。91%
漁具や餌を準備する。97%
帰港後には漁獲物を陸に揚げて市場に卸す。94%
漁船や漁具の清掃・点検・修理をする。94%
漁獲物を仕分けし、生けすや冷凍庫で保管する。91%
漁の目的や地域によって様々な漁法で漁をする。85%
漁場に着くまでに船上で漁の準備をする。88%

労働条件の特徴

沿岸漁業は基本的に少人数で行われ、1人で操業する場合も少なくないため、経営形態は個人経営がほとんどであるが、企業から雇用されることもある。

漁獲高によって収入が大きく変化する。ホタテ漁、タコ漁やカニ漁などの特産地であったり、希少価値の高い魚の漁の場合は安定して高収入を得やすい。収入を安定させるために、干物などの水産加工品を販売することもある。

従事者のほとんどが男性であるが、沿岸漁業では、海女(あま)など女性が活躍する漁業もある。

漁師のもとでの短期間でのアルバイトもある。忙しくなる魚の旬の時期の短期アルバイトが一番多いが、期間は数日だけのものから数ヶ月単位のものまでさまざまで、時給や日給で雇われる。漁師への転職を考えている場合は、このアルバイトが重要な経験になる。

休日は、海が荒れて出港できない日は休みとなるほか、魚市場が休みの日の前日を休みにするケースも多くなっている。また、時期によって漁のできる日が限られる地域もあり、禁漁期間を休暇に充てることもある。

全国各地で行われている漁法は様々で、漁法の違いによって仕事の内容も大きく異なる。イカ釣り漁業や巻き網漁業など、光を使って魚を集める漁業については、夜中に行うものもある。また、早朝・夜間に仕事をするケースも多い。

海の環境の変化や乱獲のために漁獲量が減少したことを反省し、現在では自然の力だけに頼らず、養殖場の設置などを進め、環境を保護しながら資源を回復させる漁業への転換が進んでいる。こうした養殖業等以外は、沿岸漁業を営む経営者数も生産量も近年は減少している。また漁業就業者の多くは高年齢で、漁船の老朽化も問題となっている。現状の課題解決のため、全国の漁協、民間の水産会社が積極的に若者の採用を行い、住居も無償で提供したりする中で、15~24歳の若い漁師が増加傾向にある。また、国も沿岸漁業改善資金などの支援をしている。近年は、仕事に対する価値観の変化や自然志向により、漁師を希望する都会の人々も出てきている。

働く環境の特徴

job tag の就業者調査で、この職業の人が答えた「仕事の性質」です。全職業の平均と比べて、特に高い項目と低い項目を並べています。

全職業の平均より高い

全職業の平均より低い:空調のきいた屋内作業、電子メール、外部の顧客等との接触

勤務のスケジュール:規則的 11%、不規則 56%、季節的 33%

出典厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」仕事の性質(2023年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算「仕事の性質」は回答の平均(値はおおむね1〜5の範囲)で、棒の縦線はjob tagの全職業(518職業)の平均。平均との差が0.3以上の項目を、差の大きい順に高いもの最大6つ・低いもの最大3つ。勤務のスケジュールは回答者の割合。

一般的な就業形態

この職業の一般的な就業形態として、job tag の就業者調査で選ばれた割合です。複数回答のため、合計は100%を超えます。回答した人の数が少ない職業もあるため、目安として見てください。

禄高(給与)

より広い職種の数値統計に「沿岸漁業従事者」だけの区分がないため、「農林漁業従事者」全体の数値を表示しています。

この年収は、会社などに雇われて働く人の給与です。事業主(開業している人など)の収入は含まず、会社の役員も原則として含みません。

国勢調査では、「漁労従事者」として働く人のうち、雇われて働く人は32%です。 事業主(47%)や役員(2%)として働く人の収入は、この年収に表れていません。

精度の目安標準誤差率 2.57%(統計の全職種の中央値は2.04%)

標準誤差率は、調査の対象に選ばれた事業所によって平均がどのくらいぶれるかの目安です。小さいほど数字が安定しています。

出典厚生労働省「賃金構造基本統計調査」2025年 標準誤差率 誤差率表4「職種(小分類)別所定内給与額及び所定内給与額の標準誤差率(役職者を含む)」

計算誤差率は所定内給与額(残業代・賞与を除く月額、男女計)に対する統計の公表値。中央値は全職種の誤差率からrokudakaが計算。

年収の目安は361万円です (月々の給与26.8万円 × 12か月 + 賞与など40万円)。統計の全144職種の中で134番目に高い水準です。

平均年齢は49.1歳、平均勤続年数は9.7年です。年齢別では45~49歳が最も高く、407万円です。

年収の推移

2023年2024年2025年
374万円352万円361万円

年齢別の年収

白抜きの点と破線は、推計労働者数が1,000人未満の区分です。 人数が少なく平均がぶれやすいため、参考値として見てください。 薄い棒(右の目盛り)は、賃金の統計の推計労働者数です。企業規模10人以上の会社などに雇われて働く人の数で、自営業の人や小さな会社で働く人を含まないため、下の「年齢別の就業者数」(国勢調査)とは対象が違います。

男女別

男379万円
女291万円

女性の年収は男性の77%です。年齢構成や勤続年数の違いも含んだ差です。

企業規模別

1,000人以上411万円
100〜999人342万円
10〜99人365万円

企業規模による差は最大70万円です。

需要と将来性

より広い職種の数値求人倍率は「農林漁業従事者」全体の数値です。

2025年の有効求人倍率は1.07倍です。仕事を探している人1人に対して、1.1件の求人がある状態で、人手が足りない側に傾いています。2023年からの推移を見ると、下がっています。

有効求人倍率の推移

ハローワークを通じた求人・求職の数から計算した値で、民間の求人サイトの求人は含みません(パートタイムを含む常用)。

就業者数の推移

より広い職種の数値就業者数は「漁労従事者」全体の数値です。

2020年の就業者数は66,470人です(うち女性13%)。2010年と比べると-27%減っています。

国勢調査は5年ごとの調査です。会社員だけでなく、自営業や家族で営む仕事の人も含みます。 そのため、給与の統計(企業規模10人以上の会社などで働く人)とは対象が違います。

年齢別の就業者数(2020年)

「漁労従事者」全体の数値です。5歳ごとの年齢層では、65~69歳がいちばん多くなっています(70歳以上はまとめているため除く)。30歳未満は9%で、働く人全体(15%)より少なくなっています。60歳以上は50%で、働く人全体(24%)より多くなっています。

国勢調査の就業者数で、雇われて働く人のほか、自営業や家族で営む仕事の人も含みます。70歳以上はまとめています。

出典総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,年齢(5歳階級),職業(小分類)別就業者数(15歳以上就業者)」 / 総務省統計局「国勢調査」2010〜2020年 2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」(それ以前は同じ区分で集計された時系列データ)

計算年齢(5歳階級)の就業者数を、賃金の統計の年齢階級に合わせて「〜19歳」から「70歳〜」にまとめた。割合は5歳階級の合計に対する割合でrokudakaが計算。働く人全体は国勢調査の「総数」で、差が5ポイント未満は「同じくらい」。

働き方の内訳(2020年)

雇われて働く人(正社員・派遣・パートなど)32%21,350人
会社などの役員2%1,140人
事業主(人を雇っている)10%6,500人
事業主(一人で)(開業・フリーランスなど)37%24,580人
家族従業者・内職など19%12,340人
不詳1%540人

出典総務省統計局「国勢調査」2020年 抽出詳細集計「男女,従業上の地位,職業(小分類)別就業者数(15歳以上)」

計算割合は従業上の地位別の就業者数を総数で割ってrokudakaが計算。「家族従業者・内職など」は家族従業者と家庭内職者の合計。

必要なスキル・知識

全職業の平均と比べて特に求められるスキルは、保守点検、修理、故障等の原因特定です。 知識では地理学、生物学、機械が特徴的です。

スキル(全職業の平均との差が大きい8項目)

知識(全職業の平均との差が大きい8項目)

水準はスキルが0〜7程度、知識が0〜5程度で、数字が大きいほどその仕事で高いレベルが求められることを表します。

なり方・学び方

入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。見習いとして個人事業主や漁業会社の船に乗ることが一般的である。漁業関係者に知人等がいない場合には、ハローワークなどで求人情報を検索したり、関係団体や漁業会社等に問い合わせる。漁業への就業支援のイベントには、採用意向のある漁業協同組合や漁業会社が出展するので、直接採用状況などを確認できる。

独立して自分の漁船を操業する場合には、小型船舶操縦士や海上特殊無線技士の免許を取得するだけでなく、漁業協同組合に所属し、漁業権免許を取得する必要がある。組合員になるには、その地域に住んで、年間90~120日以上(漁業協同組合によって異なる)の漁業を行った実績が必要である。船主や地域の漁協組合員から様々なことを学び、その土地の住民として地域の産業の担い手になっていくという気持ちが求められる。

海上においては、風雨・波浪・寒暑など気象・海象の影響を直接に受ける環境で働くため、気象に関する知識が必要であり、また、相応の体力・機敏性が求められる。

関連する資格

資格の詳細ページでは、受験資格・受験料などを試験の実施団体などの公式情報をもとに、出典と確認日つきでまとめています。講座の情報は準備中です。

関連団体

スキルが近い職業

スキル・知識の傾向が似ている職業です。必要なスキルの重なりが大きいほど、転職のときに経験を活かしやすいと考えられます。

出典厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」スキル(2021年度、その職業に就いている人へのWebアンケート) / 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00」知識(2023年度、その職業に就いている人へのWebアンケート)

計算スキル39項目・知識33項目の水準を、job tagの全職業の中での位置(標準化した値)に直し、職業ごとの全体の高さの差を除いてから傾向の近さ(コサイン類似度)をrokudakaが計算。このサイトに掲載している職業の中から近い順に5件。

沿岸漁業従事者と、ほかの職業をくらべる →

出典と注意

使っている統計について

賃金構造基本統計調査(e-Stat)
厚生労働省が毎年行う基幹統計(統計法で特に重要と定められた統計)です。 事業所が、働いている人ごとの給与を記入する調査で、職種・年齢・企業規模などの区分ごとの給与がわかる国の代表的な賃金統計です。 このサイトの数値の範囲は一般労働者(短時間労働者を除く)、企業規模10人以上です。
職業安定業務統計(一般職業紹介状況)(e-Stat)
厚生労働省が、全国のハローワークで受け付けた求人と求職の数を集計した業務統計です。 民間の求人サイトや人材紹介会社の求人は含みません。
国勢調査(e-Stat)
「国勢調査は、日本に住んでいるすべての人及び世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに行われます。」 (総務省統計局「令和2年国勢調査に関するQ&A」問1-1) 職業別の就業者数は、調査票の一部を抽出して集計した推計値です(抽出詳細集計)。 範囲は15歳以上の就業者(雇用者のほか、自営業主・家族従業者などを含む)です。
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)(ダウンロードページ)
厚生労働省の職業情報サイトです。スキル・知識・タスクの数値は、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)がその職業に就いている人へのアンケートで集めたものです。

データの対応関係

数字の見方

数字の計算方法や読み方は「統計の読み方」にまとめています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成『職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ ver.7.00』職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月30日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)、『職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ ver.7.01』職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月30日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成